【書評】東京百景:又吉直樹
- 文学青年ぶりたい
- 散歩途中で本を読みたい
- 火花を読んで又吉直樹にハマった
芥川賞受賞作『火花』、4月公開の話題の映画の原作小説『劇場』の
元となるエピソードを含む100篇のエッセイからなる又吉文学の原点的作品
『東京百景』が7年の時を超えて、待望の文庫化。
18歳で芸人になることを夢見て東京に上京し、自分の拙さを思い知らされ、
傷つき、苦しみ、後悔し、ささやかな幸福に微笑んだ青春の軌跡。
東京で夢を抱える人たちに、そして東京で夢破れ去っていく全ての人たちに
装丁を一新し、百一景と言うべき加筆を行い、新しい生命を吹き込んで届けます。
文学的表現に笑いのエッセンスを添えて
芥川賞作家、ピースの又吉直樹氏のエッセイ集。
もはや芸人というより文筆家の印象が強い。もう何年もネタみてないなぁ。相方のせいだけどw
この本は芥川賞受賞作品「火花」が発売される前のもの。
あったりまえだけど、後に芥川賞を受賞する著者の手腕は自らの世界観にぐいぐい心を引き込んでくる。
エッセイ集でこんなに引きこまれたのは始めてかも。
上京した東京での出来事や心象を、土地や場所をテーマに語る。当然いったことない場所なんだけど、なんだろね。この自分の中の「いつかの」「どこか」の記憶が思い出させてしまうのは。
各章が1ページ程度、長くても数ページと非常に短いなか、その独特なキャラクター性と繊細な文章で、笑って泣けてスーッと心に染み入ってくる言葉のセンスは読んでいてほんと気持ちがよい。
久々に何度も読み返したくなる本で、それを見透かされているかのように装丁は持ち歩きを想定したかのようにビニールカバーがしてあり、大きさもハードカバーより小ぶりで鞄にいれていても邪魔にならないサイズ。
どうもまんまと製作者の絵図にノセられてるやねw