ウルトラライトハイカー:ワンダーフォーゲル編集部
より「少なく」「軽く」「遠く」へ
最近むくむくとアウトドア熱が再燃している。
元ボーイスカウトでフィールドワークを主とする専門学校へも通った経験があるボクはテントこそ持ち合わせていないが、軽く野宿できる程度の道具は一式持っていた。
結局その用品はミニマリストに目覚めた時に多くを断捨離してしまったのだが…
キャンプなどのアウトドアスポーツを諦めた原因の一つが道具にかなりのお金をつぎ込むこまざるを得ないことであった。
まずキャンプのイメージとして浮かぶのは、車に椅子やテーブルなどアウトドアブランドの家財道具一式を積み込んでいくオートキャンプではなかろうか。
富士山やアルプスなど標高の高い山へ行くためにハイスペックな道具と緻密な計画が必要な縦走登山なんていう玄人向けなのもある。
手ぶらでOKだがミドルクラスホテルに近い料金を払うことで、今までのキャンプのイメージを一変させたラグジュアリーな世界を体験できるグランピングなども捨てがたい。
どれもお金と道具と知識がなければ敷居が高い印象がある。
本来もっと自由で気楽なものであったはずのキャンプがこうもモノに溢れたスタイルになってきたのは、ボーイスカウト経験者としてはちょっと悲しく思う。
そんな中、アメリカで発祥した一つのスタイルがウルトラライトハイク。
日本とは比べ物にならないほど広大な自然があるアメリカでは自然と戯れるにもスケールが違う。
ロングトレイルという数千キロにも及ぶハイキングルートがあり、キャンプ道具一式を全て担ぎ数ヶ月かけて踏破する。そんなキャンプスタイルである。
数ヶ月もの道程を歩ききるには、持ち歩くものはより軽く、少なく、耐久性の高いモノを厳選する必要がある。
余計はものは一切持たない。
まさに『足るを知る』
ストレスを減らし身軽に遠くまで進む、ミニマリズムに通ずる考え方だ。
そんなスタイルのキャンプに魅せられ、今いろいろな関連書籍を読んでる次第。
ウルトラライトハイカーのスタイル集
内容は10組のウルトラライトハイカーのスタイル紹介。
ウルトラライトハイクといってもそのスタイルは自由でウルトラライトに目覚めた経緯も様々。
ただどのハイカーもより深く自然と向き合い、楽しもうとするという目的は同じで、何を楽しむかが明確でシンプル。
一つのことに集中するために他を捨てるという考え方。
快適性と軽量化を秤にかけたテントやシュラフ、どのようなシチュエーションでも使い回せるよう厳選した衣類、すべての無駄を削ぎ落とすために歯ブラシの柄さえも削り落とすミニマム装備。
普段の生活でも使えそうな究極まで減らすアイデアが満載ね。
徹底しているのは装備リストにはグラム単位で重量が記載されていること。
ウルトラライトは食料・水を含まず装備品は7kgに収めるというのが一つの基準になっている。
7kgってかなりの軽さよ…
ウルトラライト専用のギアも商品としてかなりあるのだが、より軽量をもとめて100均アイテムを改造したりと試行錯誤が見えるのも面白い。
例えば、食事に使うバーナーはアルコールストーブを使うとする。市販のアルコールストーブもあるが、実はこれアルミ缶で自作できる。完成品はアルミ缶1/3くらいの大きさになり数十グラム。コスパもいい。
ウルトラライトは発想と工夫のかたまりなのだ。
ハイキングじゃなくても応用可能
ボクはウルトラライトでハイキングは想定していない。
ひとつの場所でのんびり過ごす。いわゆるゆるキャンが目的。
ただ公共交通機関で移動するので最小限の荷物が理想。
のんびりが目的だから食料は切り詰めなくていい。
のんびりするための本や椅子、防寒具は持っていく。
目的によって必要なもの。そうじゃないものを柔軟に入れ替え、様々なスタイルに対応できるのがウルトラライトの魅力である。
より楽しむために選択して集中する
ミニマリストにこそ読んでもらいたい本です。