脚色というクラッシャー『47RONIN』
公開 | 2016年 |
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制作 | アメリカ |
時間 | 121分 |
監督 | カール・リンシュ |
出演 | キアヌ・リーブス/真田広之/柴咲コウ/浅野忠信/菊地凛子 |
キアヌ・リーブス主演、忠臣蔵をベースにしたファンタジー・アドベンチャー。
日本の心『忠臣蔵』のベースプロットがあることはわかるが、実在しない下男と赤穂の姫のラブストーリーというディズニーの如き王道路線に。
日本人の「コレじゃない」のため息がこだまするなか、海外でもイマイチ刺さらなかったようで酷評が目立つ。
2020年Netflixで続編の製作が報じられた。マジで。
ここ10年で日本人俳優によるハイウッドでの活躍がとても多くなってきた。
やはり筆頭は渡辺謙だろう。『ラスト・サムライ*1』で見せたネイティブではないが堂々とした英語は、英語アレルギーのある日本人に勇気を与えてくれたように思う。
それを引き金に日本の文化、歴史イベントにも注目度が集まっているのであろうか。
もとより海外ではキラーコンテンツである「忍者」「侍」。
侍の在り方の見本ともいうべき『忠臣蔵』に目をつけるのは当然かも知れない。
してこの作品を観覧済みの方にお聞きしたい。どう?これ。
僕の感想はキアヌ・リーブス主演で!日本人俳優が大挙して出演なのに!である。
まず!ベースは紛れもなく忠臣蔵である。それは間違いない。
ただし物語を引っ張るのがすべて非実在系キャラクター。
天狗に育てられた異国の血を引く青年キアヌ、傾国を企む妖術師菊地凛子。
そぎ落とせば、ほぼこの二人で物語が動いており、ほかは添え物に近い。
忠臣蔵という骨子は走りつつも、姫との淡い恋事情と裏で暗躍する魔法使いという設定が表皮を塗りつぶす。この関係性は『白雪姫』に近いのである。さしずめ四十七士は7人の小人であろうか。
忠臣蔵は命を賭した忠義心と負けの美学という日本人の大好きなエッセンスが凝縮された史実。この日本独特のセンスをそのまま海外に持っていっても伝わりづらいというのはなんとなくわかる。
しかし、いかに下敷きとはいえ、もはやモブと化した四十七士。脚色の怖さとはかく言うものか。
- 主線のない厚塗りにチャレンジ。まだまだ大人の塗り絵感。
*1:ラスト・サムライとは:明治初期、時代に取り残された侍たちの生き様を描く傑作