登場人物だいたいサイコパス『ゴジラvsビオランテ』
公開 | 1989年 |
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制作 | 日本 |
時間 | 105分 |
監督 | 大森一樹 |
出演 | 三田村邦彦/田中好子/高嶋政伸/峰岸徹 |
ゴジラシリーズ17作目。平成ゴジラシリーズでは第一弾となる作品だが、舞台としては前作『ゴジラ』の直後からスタートするため直接の続編にあたる。
シリーズ中、最もグロい見た目かつ悲しきフランケンとして誕生したビオランテだが、思いのほか出番は少ない。
それよりもゴジラ出現に備えて対策を練る自衛隊やゴジラの細胞で金儲けしようとする企業を含めたワチャワチャした人間ドラマが見どころである。
恐縮ながらゴジラシリーズはこの『ゴジラvsビオランテ』と『シン・ゴジラ*1』しか観たことがない。
しかしこの『バトルヒーター*2』を彷彿をさせるビオランテの造形だけが妙に生々しく記憶に残っている。子どもへの配慮を無視したグロさよね。
実はゴジラの登場は物語が半分近く進んでから。
どちらかといえば焦点はゴジラという災害への対策を講じる自衛隊や利潤を追い求める企業とのイザコザなど「人」に比重が大きい。この点はシン・ゴジラとも共通点があるかもしれない。
大きく異なるのはシン・ゴジラがゴジラへの対応を実際に我々が体験した震災にダブらせて、政府や各省庁の対応をリアルに描いているのに対し、今作はどうにも登場人物がうろんな存在。
事故で娘を失った植物博士がゴジラの細胞と娘のDNAを組み込んだ植物を融合。超絶進化を遂げビオランテが誕生するわけだが、これは博士の倫理観皆無の100%のエゴで作り出したよね。
そしてビオランテに呼応して出現するゴジラ。この事態の元凶で間違いないこの博士、ことが進行してもまったくの傍観者。常にヌボーっと立っている。
早く病院か警察に連絡を。
ストーリーを引っ張る人間側の主人公三田村邦彦。
男前感を前面に押し出したアクションを披露。しかし仲間が死のうが目の前で殺し屋が蒸発しようが、次のカットではケロッとして田中好子とイチャイチャウフフである。
殉職した相棒根岸徹が不憫でならない。
極めつけは当時若手俳優の高嶋政伸。
昨今の怪演とは比べ物にならない終始無表情な自衛官。演技スタイルなのか腹話術人形のほうがまだ感情があると思えるクレバーっぷり。
ボタン一つで殺し屋を蒸発だー。
そしてほぼ瞬殺されたビオランテをあとに「ちょっと熱があるんで帰ります」的に海中へ没するゴジラ。
それをなんとなく納得して見送る一堂。
人のエゴと無力感だけが漂う。
ただ一点眼福だったのは、スーパーX2のオペレーターである若き日の豊原功補と鈴木京香。裏でデキてそうな雰囲気がたまらない。
- どうやっても手数が多くなる。もっとシンプルな塗りで表現したいなぁ。。